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起業家の時そして起業家支援の時(前編)

2001年に初めの起業をしました。

最初の事業は最近の言葉で言うとインフルエンサー・マーケティングに近いものになります。もちろん、当時はインフルエンサーという言葉もなく、SNSすら無かったです(Facebookはもちろん、Mixiとかもまだサービス開始していませんでした)。eGroupsというメーリングリストが主な情報交流ツールであり、口コミとかも文字通り口伝えで伝わることが多かった時代でした。

どういう経緯でそうなったのかはよく覚えていないのですが、気が付くと大学1年生の時に学生起業家・学生団体/サークルの代表者などが500人位周りにいました。何かの時に学生団体の運営でアドバイスをしたところ、非常に感謝されて「小田玄紀に相談したら悩みが解決する」という評判が口コミで広まり、いつの間にか500人以上の経営/運営相談に乗っていました。こうしたネットワークが広がっていくと、企業も目を付けてきます。学生向けに商品開発・販促をしたい企業から連絡をもらい、学生向けの新商品開発やプロモーションのアドバイスを求められたり、メディア関係者からは最近の学生の動向を知りたいとか、その種の番組をやる際に企画から出演する学生の募集などもして欲しいと言われるようになりました。

 当時、学生団体/サークルの悩みは大きく以下のようなものに分けられました。
(1)活動資金に関する課題
(2)広報に関する課題
(3)運営/後継者引継に関する課題

活動内容こそ違えど、課題として共通する点が多く、また解決方法も近しいものがありました。活動資金についても、多くが1社から20~30万円程度の協賛金を募りたいというものであり、その多くが電話で企業の広報部やメセナ部に対して依頼をするという手法でした。企業側からすると「1つの団体に協賛をすると他の団体からも協賛依頼が来るので、中々新しい団体には協力しにくい」という事情もあり、電話の段階で体よく断るというのが通常の流れでした。他方で企業からするとマーケティングにおけるヒアリング予算で30~50人の学生の意見をヒアリングするのに50~100万円の予算を使うことはざらにあります。通常は広告代理店や調査会社経由で学生を集めることになりますが、ここにさらに費用がかかることもしばしばあります。

 学生側からすると協賛金が集められる。企業側からすると学生の生の意見を聞く貴重な機会が得られる(しかも、学生側からは協賛することで感謝もされる)。非常にシンプルではありますが、こうした積み重ねが多くの学生から感謝され、また、結果的にビジネスにもなりました。また、多くの学生団体の代表者が集まるようになるとメディアも注目してきます。『最近の学生の動向』というテーマはどこのテレビ局でも必ず年に何回かは取り上げるテーマになります。NHKや民放、制作会社の方から連絡をもらい、取材可能な学生を紹介して欲しいと言われ、企画から一緒にやらせてもらい、学生側からするとテレビで活動のPRが出来る機会はとても大きなチャンスになるために双方にとってWin-Winな関係を構築することが出来ました。こうして、学生側からすると『活動資金』と『広報』という運営上重要な点を解決してもらえるかもしれないということで、全国から500人以上の学生起業家・学生団体/サークルの代表者が周りに集まるようになりました。

 商品開発や販促を依頼する企業も徐々に増えてきたのですが、さらに一番こうした学生ネットワークに興味を持ったのがリクルートをはじめとしたリクルーティング企業です。当時、文系の採用単価は150万円、理系の採用単価が300万円位とされていました。リクナビとかもまだスタートする前で、就職ジャーナルという雑誌がリクルートも主力商材となっていた時代です。如何にして学生に早期から企業を認知してもらうか、また、就職先として検討してもらうかということは人事部にとって大きな課題でした。特に、当時は学生向けにターゲッティングされたメディアも少なく、学生向けのBtoCをやっている企業以外は中々認知度を上げることに苦労していました。

 実際に、ある保険会社は3社の保険会社が合併して出来たのですが、就職希望アンケートをすると合併前の企業の方が就職希望ランキングとして上位に来てしまうことが課題となるなど、就職候補として企業認知をさせることは非常に苦労をしていました。この課題に学生ネットワークは非常にマッチしました。リクルートなどの採用支援企業と一緒に就職/インターンイベントを企画したり、学生の悩みを企業の人事部が解決するようなイベントをしたりと学生と企業を本音ベースで交流できるような場を構築していきました。企業側も採用イベントだけだと『仮面を被った学生』としか交流が出来ず、こうしたリアルかつ本音の交流は大きな価値を提供することが出来ました。

 実際にこのような交流から学生起業家や学生団体/サークルに企業が支援する実績が多く出てきました。学生の活動の分野は様々であり、環境問題・教育問題・福祉問題・国際交流・スポーツサークルなど様々な活動を支援することが出来、それぞれの代表者がやりたいことや夢の実現を一緒に果たすことが出来ました。この時のいくつかの事例は別途、『頑張る人の物語』にも書いてありますが、こうした体験が『頑張る人が報われる』という自分自身のライフワークのベースになっています。大学1年生から3年生までの間に、このような学生マーケティングのビジネスをしていました。口コミだけで仕事が増え(営業活動は1回もしたことがなく、全て口コミだけで仕事が増えていました)、ビジネスも順調だったのですが、大学3年生の時に『このままいって3~5年後、もしくは10年後にどうなっているんだろう。今は自分自身が学生だから学生のことが分かるけど、学生じゃなくなったらその感覚がズレていってしまうのではないか』と思うようになりました。

そこで、学生マーケティング事業については同じような事業をしていた知人に譲渡し、その譲渡代金とそれまで事業で得た資金を基にして起業家支援を始めることにしました。

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